2009年 02月 06日
コペンハーゲンスマイル |
撮影:
2月某日
暖冬です。
*環境をデザインするということ DR CITY*
デンマーク国営放送局、通称「DR」の移転工事が始まって5年が
経ちました。当初は傍目にも余裕の、優雅な進行状況でしたが、
やがて景気の雲行きが怪しくなってきた2年前のことです。
予算を大〜きく上回る中間報告にびっくり仰天した政府が
工事に“待った!”をかけて調査に乗り出した。
そしたら…
なんとなくミニNHKみたいな事があったらしい…のね。
責任者の進退問題にまで発展し、工事費用を捻出するために
番組予算が削られる、スタッフはリストラされる…、で
擦った揉んだの大騒動。そんな事も手伝って遅れに遅れた
移転工事でしたが、ここに来て、どうやらほぼ完成した様子です。
放送局に隣接したコンサートホール(Jean Nouvel設計 FRANCE)も
完成し、スケルトンなブルーのファサードが周囲の景色を一新しました。
DRコンプレックスを総称してDR-CITY。
新しいメディアコミュニヶーション基地の誕生です。
デンマークの地域開発は面白い。
単に環境が変化させるのに留まらず、もっと積極的に…そう、
開発をすることで、環境を進化させてゆく、という感じです。
今では観光名所の一つとなっている、かの有名な*クリスチャニアが好例で、
相変わらず、時々怖い事件も起こるけれど、
そんなコワーイ場所の至近距離に王立アカデミーが有り、
高級集合住宅群が立ち並んでいます。
みんな一緒にジャムってしまえ!
…すると…?!
不思議なことには新たな秩序と調和が生まれて来るようなのです。
これは物理学的現象といえるかも知れないね。…と私は思う。
他にも、コペンハーゲン中央駅裏側の“社会問題のルツボ地帯”なども、
地域住民を取り込んでの開発が成功している例だと思う。
そして、今回のDR-CITYですが、道路を隔てたすぐ隣は低所得者用の
大きな団地です。
最近は移民のゲットー化で、青少年の犯罪や暴力事件などが頻発、
いわゆる社会的問題地域です。
でも、ここもDR-CITYと繋がりを持った事で、物理学的な現象が
期待できるかも知れません。
コンサートホールのこけら落としの日。
団地住民の中から選ばれた20人がステージに上がり、
DRオーケストラをバックに合唱。新しい環境を大いに歓迎したのでした。
閉じずに開く、拒まずに包み込む。
住民の感心と意識を高める事を最優先にしたデンマークの地域開発は
社会問題の解決役も担っているようです。
by sundby
| 2009-02-06 05:18
| デザイン