2008年 01月 30日
東京で思った。 |
【その4 贅沢って何? の巻】
さて、
北欧風分厚いコートを脱ぎ捨てて、軽いジャケットを羽織り、&
例のSuicaで地下鉄を乗り継ぎ、最短距離の出口から
待ち合わせ場所にササッと行けるようになり、&
スターバックスで「トール アメリカーノ」と恥ずかし気もなく
オーダー出来るようになり…している内に久しぶりの日常生活
に戻った。
“久しぶり”の特権階級という訳で皆が優しい。家族はもちろん、
友達に会っても「いいのよ、今日は、貴方の一番食べたいもので。」
そう?それなら遠慮なく、と毎日食べたい物を食べ続けていたら、
次第に過食気味になっていった。
初めの内は近所のスーパーマーケットでも両手いっぱいの
買い物をしてご機嫌になっていたのだが、目が慣れて来ると
溢れるばかりの品物に今さらながら驚嘆し、特に生鮮食料品には、
これが全部その日の内に売り切れてくれるのか?
もし、売れ残ったらどうするのだろう?と、とても心配になってきた。
おまけに、テレビをつけると安手のタレントが分不相応な
ご馳走を頬張っているのが大写しになっているではないか!
気づくと私の口から「なんと贅沢な!」「ああ、もったいない!」
この2フレーズの連発となって行った。
そして、もう一つ、これは既に日常化した感はあるものの、明らかに
「贅沢」からくる現象だと今回あらためて感じ入ったのが「行列」だった。
●12月23日、銀座は並木通り。
若い男女+中年婦人が混ざって黙々と長い行列をしている。
何だろう?と思ったら、今どき流行りのチョコレートショップだった。
限定いくつのチョコレートに人々が静かに並ぶ。クリスマスイブ用かな?
●同日、午後3時頃、マロニエ通り。
松屋の横道で看板を持った若者が「最後尾はこちらー!」と、汗して
誘導している。その後をぞろぞろ…中年婦人+若者カップル+母娘らしき
二人ずれなどの群れが誘導に従って大人しく並んで行く。結構な長さの列だ。
「それはそうサ。なんてたってLUIS VUITTONだもの」…っていうことかな?
試しに銀座通りに回ってみると、お隣のTiffanyも結構な行列で、
中を覗くとバーゲン会場のような人だかりだ。
若い女の子が青い小さな袋を嬉しそうに持って出て来た。
一緒の若者がちょっと得意な風だ。微笑ましい情景…っていうことかな?
●同日、同時刻 再びマロニエ通り。
向こうから、すごい人の群れがやって来る。所々に交通整理の人がいる。
若い人もいるけど、こちらはオジサン風、サラリーンマン風、貫禄のオバサン風
ありでつい先程、同じ通りの羊の群れごとくの行列とは違う、
一種の熱気みたいなものが辺りを包んでいる。
「今度は一体なんだ?」人の波をさらに観察すると、
おやっ!?手にスポーツ紙。あっ!耳に鉛筆おじさん!
その日は丁度有馬記念という大きなレースの日で、私達は偶然にも
丁度レースが終了した直後に通りかかったのだった。
マロニエ通りはまたJRAの本拠地でもあったのだ。
●12月26日、有楽町のガード下当たり。
またまたすごい行列だ。長蛇の列に驚いて見上げた先にお馴染み
「牛丼 吉野や」の黄色い看板が見えた。相変わらずの人気だね、と
頷いたら、それは吉野やの行列ではなく、年末ジャンボ宝くじの行列なの
だった。これは分る。並ぶのが分る。みんな夢を買いに来たんだもの。
この中から笑って正月迎える人が出ますように、と通りがかりの私は
神様に祈った。
●新年明けて間もない 某日、神田にて。
書店巡りをしていて、急にお腹が空いた。靖国通りに面してラーメン屋さんが2軒。
数件の店を挟んで並んでいる。片方は長蛇の列。もう片方はシンとしている。
私は迷わず、そのシーンとした方に入った。結果は美味しかったですよ。
いかにも東京ラーメンらしく、醤油味で余計な細工ゼロ。600円也。
ラーメンにこれ以上何を望みましょう?サクラを店の前に並ばせれば、
きっと流行るよ。と湯気の向こうのオヤジさんに内緒で教えてあげたくなった。
まだまだ、あったけれど、切りがないから書かないでおきましょう。
ラーメンから宝石まで、とにかく、みんな良く並ぶものだ、と感心した。
「行列の先に何が有る?」
これは私が今回発見した新しい東京見物、面白見物の方法です。
レンゾ ピアノ設計の美しい建築エルメスTOKYO(それは銀座の新たな
ランドマークになり得ると私は思うのだけれど)の横にマツモトキヨシ。
この光景が東京、いや今のニッポンを象徴しているようにも思える。
格差の無い社会をある意味実現してしまった国かもしれない。
スーパーマーケットに並ぶ生鮮食料品の山は日常的な平和、贅沢、潤沢。
やがて慢性、麻痺…。
そんな事をわたしに連想させる。
欲しい物は何でも手に入るけれど、さて、
本当に自分にとって“豊かな生活”を目指そうとすると、
それは至難の技かもしれないな、とも思った。
さて、
北欧風分厚いコートを脱ぎ捨てて、軽いジャケットを羽織り、&
例のSuicaで地下鉄を乗り継ぎ、最短距離の出口から
待ち合わせ場所にササッと行けるようになり、&
スターバックスで「トール アメリカーノ」と恥ずかし気もなく
オーダー出来るようになり…している内に久しぶりの日常生活
に戻った。
“久しぶり”の特権階級という訳で皆が優しい。家族はもちろん、
友達に会っても「いいのよ、今日は、貴方の一番食べたいもので。」
そう?それなら遠慮なく、と毎日食べたい物を食べ続けていたら、
次第に過食気味になっていった。
初めの内は近所のスーパーマーケットでも両手いっぱいの
買い物をしてご機嫌になっていたのだが、目が慣れて来ると
溢れるばかりの品物に今さらながら驚嘆し、特に生鮮食料品には、
これが全部その日の内に売り切れてくれるのか?
もし、売れ残ったらどうするのだろう?と、とても心配になってきた。
おまけに、テレビをつけると安手のタレントが分不相応な
ご馳走を頬張っているのが大写しになっているではないか!
気づくと私の口から「なんと贅沢な!」「ああ、もったいない!」
この2フレーズの連発となって行った。
そして、もう一つ、これは既に日常化した感はあるものの、明らかに
「贅沢」からくる現象だと今回あらためて感じ入ったのが「行列」だった。
●12月23日、銀座は並木通り。
若い男女+中年婦人が混ざって黙々と長い行列をしている。
何だろう?と思ったら、今どき流行りのチョコレートショップだった。
限定いくつのチョコレートに人々が静かに並ぶ。クリスマスイブ用かな?
●同日、午後3時頃、マロニエ通り。
松屋の横道で看板を持った若者が「最後尾はこちらー!」と、汗して
誘導している。その後をぞろぞろ…中年婦人+若者カップル+母娘らしき
二人ずれなどの群れが誘導に従って大人しく並んで行く。結構な長さの列だ。
「それはそうサ。なんてたってLUIS VUITTONだもの」…っていうことかな?
試しに銀座通りに回ってみると、お隣のTiffanyも結構な行列で、
中を覗くとバーゲン会場のような人だかりだ。
若い女の子が青い小さな袋を嬉しそうに持って出て来た。
一緒の若者がちょっと得意な風だ。微笑ましい情景…っていうことかな?
●同日、同時刻 再びマロニエ通り。
向こうから、すごい人の群れがやって来る。所々に交通整理の人がいる。
若い人もいるけど、こちらはオジサン風、サラリーンマン風、貫禄のオバサン風
ありでつい先程、同じ通りの羊の群れごとくの行列とは違う、
一種の熱気みたいなものが辺りを包んでいる。
「今度は一体なんだ?」人の波をさらに観察すると、
おやっ!?手にスポーツ紙。あっ!耳に鉛筆おじさん!
その日は丁度有馬記念という大きなレースの日で、私達は偶然にも
丁度レースが終了した直後に通りかかったのだった。
マロニエ通りはまたJRAの本拠地でもあったのだ。
●12月26日、有楽町のガード下当たり。
またまたすごい行列だ。長蛇の列に驚いて見上げた先にお馴染み
「牛丼 吉野や」の黄色い看板が見えた。相変わらずの人気だね、と
頷いたら、それは吉野やの行列ではなく、年末ジャンボ宝くじの行列なの
だった。これは分る。並ぶのが分る。みんな夢を買いに来たんだもの。
この中から笑って正月迎える人が出ますように、と通りがかりの私は
神様に祈った。
●新年明けて間もない 某日、神田にて。
書店巡りをしていて、急にお腹が空いた。靖国通りに面してラーメン屋さんが2軒。
数件の店を挟んで並んでいる。片方は長蛇の列。もう片方はシンとしている。
私は迷わず、そのシーンとした方に入った。結果は美味しかったですよ。
いかにも東京ラーメンらしく、醤油味で余計な細工ゼロ。600円也。
ラーメンにこれ以上何を望みましょう?サクラを店の前に並ばせれば、
きっと流行るよ。と湯気の向こうのオヤジさんに内緒で教えてあげたくなった。
まだまだ、あったけれど、切りがないから書かないでおきましょう。
ラーメンから宝石まで、とにかく、みんな良く並ぶものだ、と感心した。
「行列の先に何が有る?」
これは私が今回発見した新しい東京見物、面白見物の方法です。
レンゾ ピアノ設計の美しい建築エルメスTOKYO(それは銀座の新たな
ランドマークになり得ると私は思うのだけれど)の横にマツモトキヨシ。
この光景が東京、いや今のニッポンを象徴しているようにも思える。
格差の無い社会をある意味実現してしまった国かもしれない。
スーパーマーケットに並ぶ生鮮食料品の山は日常的な平和、贅沢、潤沢。
やがて慢性、麻痺…。
そんな事をわたしに連想させる。
欲しい物は何でも手に入るけれど、さて、
本当に自分にとって“豊かな生活”を目指そうとすると、
それは至難の技かもしれないな、とも思った。
by sundby
| 2008-01-30 21:44
| 旅行