2011年 09月 07日
「ノラや」 内田百閒 |
秋風が吹きはじめる、ちょうど今頃に相応しい一冊を選びなさいと言われたら、
たまには内田百閒の随筆などを候補に挙げようかな。
例えば「ノラや」
可愛がっていたノラ猫一匹失踪しただけで途方にくれ泣き暮れる様を
延々と綴っている。
なんとまあ困ったおじいさんなのだろうと呆れながらも、
周囲の人々がこの老人が喜ぶ顔見たさに猫探しに東奔西走している様子を
張本人が人ごとのように書いているのが可笑しくて、
自分もこのおじいちゃんの喜ぶ顔を見たくなってくる。
(晩年の黒沢明監督作「まあだだよ」は内田百閒のお話し。
黒沢自身、百閒のような純な老人に憧れていたのかもしれない。)
それで、結局ノラは行方知らずのまま。
慰みに飼い始めたもう一匹の捨て猫に次第に愛情を感じて行くあたりでは
正直な筆者の心持ちが伝わってきて読み手もとホッと安堵。
子供のいない老夫婦の細やかな情愛がほわりと漂う文章は
柔らかい秋の陽の日向ぼっこをしているような気分になれます。
猫が好きな人向けの一冊です。
我が家のノラ猫 K-ちゃん
たかがノラ猫…ではありますが、3日も来ないと心配になる。
今では百閒先生の気持ちがよーく解ります。
「きょうのクロスステッチ」(ステッチハウス店長日記内)もお楽しみ下さい。
たまには内田百閒の随筆などを候補に挙げようかな。
例えば「ノラや」
可愛がっていたノラ猫一匹失踪しただけで途方にくれ泣き暮れる様を
延々と綴っている。
なんとまあ困ったおじいさんなのだろうと呆れながらも、
周囲の人々がこの老人が喜ぶ顔見たさに猫探しに東奔西走している様子を
張本人が人ごとのように書いているのが可笑しくて、
自分もこのおじいちゃんの喜ぶ顔を見たくなってくる。
(晩年の黒沢明監督作「まあだだよ」は内田百閒のお話し。
黒沢自身、百閒のような純な老人に憧れていたのかもしれない。)
それで、結局ノラは行方知らずのまま。
慰みに飼い始めたもう一匹の捨て猫に次第に愛情を感じて行くあたりでは
正直な筆者の心持ちが伝わってきて読み手もとホッと安堵。
子供のいない老夫婦の細やかな情愛がほわりと漂う文章は
柔らかい秋の陽の日向ぼっこをしているような気分になれます。
猫が好きな人向けの一冊です。
我が家のノラ猫 K-ちゃん
たかがノラ猫…ではありますが、3日も来ないと心配になる。
今では百閒先生の気持ちがよーく解ります。
「きょうのクロスステッチ」(ステッチハウス店長日記内)もお楽しみ下さい。
by sundby
| 2011-09-07 06:35
| 本