2009年 04月 21日
南スペイン-アンダルシアの旅 |
最初は自分の思いを書き綴るのみだったブログに、いつの頃からか
写真を添えるようになりました。拙い文章だけでは伝わりにくい事を
写真が助けてくれるかも知れない、と思うからです。
でも、実際には案外難しい。
自分が感動のど真ん中にいる時にシャッターなんて押していられないし、
すっかり有頂天で無我夢中の最中はカメラの事など、その存在すら
忘れてしまっています。
カメラのシャッターは切りそびれたけれど、折々の記憶の中に
しっかり焼きつけた思い出が沢山あります。
今回のスペイン旅行もそんな感じでした。
* その魅力 3【悠々とした気分】
3年前のスペイン大好きはイコール“シェリー:ビーノフィーノにハマる”でも
ありました。
娘から教わったコルドバの地酒を一口含んだ途端、その芳しい薫りに
惚れ込んでしまったのです。昼間から宿のテラスでシェリー三昧。
このような人生を“悠々として上等”というのだ、と夫婦でうっとりとして
いたものです。そう言えば、あの時、宿の屋根越しに隣家の屋上にいた
大きな犬はどうしているだろう?私は犬が屋根の上(犬の座る所だけは
わずかに平らになっているようだった)に座るのを初めて見た。
犬は私達と目をあわせると、そのままゆっくり空に向かって一つ欠伸した、と
思ったら、そのまま目を閉じてシエスタ…だったなあ。
彼の人生(犬生)もなんと悠々として上等なことだろう。
…そんな事を懐かしく思い出しながら、今回我々は銘酒CBの
蔵元を訪ねることにしました。ほとんど地元で消費されてしまうため、
デンマークでは入手不可。という訳で、「背負って持って帰ろう!」
3人とも意気盛んに、いざ出発です。
マラガからコルドバまで新幹線:AVEに乗ります。
何事も呑気なお国柄なのに、こと鉄道に関しては時刻表通りに1分と違わず
発着する、という正確さ。列車内はDVDも完備、もちろん無料。
乗務員がイヤホーンやキャンディーを笑顔で配る。至れり尽せりです。
マラガーマドリッド間、約400㎞を2時間半で結びます。
今回はコルドバ迄約1時間。アッという間に着いてしまいました。
コルドバからは一日に1往復のみのローカル線に乗り換えです。
乗客は私達の他に ひとり、ふたり…それでもきっちり時刻通りに出発進行。
なかなかやるもんだ、と感心至極ですが、
しかし、当人達は大した事とは思っていないらしい。
悠々とした気分で過ごしていると、列車が少々遅れたって、
そんなことは”アスタマニアーナ”なのでしょう。
モンテリアの駅に到着。我々3人だけがプラットフォームに降り立つ。
誰 も い な い 。
ふもとの駅舎から真直ぐに丘の頂上に向かった道を行く。
人陰がなくて静かだけれど、どこかに人の気配はする。
凸凹道は田舎道〜といいながら、途中で道を聞く。
ひとつ聞くと2つ3つ余分に教えてくれる、と娘が笑う。
蔵元に着くと案内の人が私達を待っていた。遠くの方から私達に
手を振っていてくれた時から幸せな予感が始まった。
ビーノフィーノの眠る蔵の中に一歩踏み込むと、たちまち芳しい薫りに包まれた。
空中に酵母の息づかいというのだろうか?生きているモノの気配を感じる。
豊穣な空気とはこういう事だと思った。
恋いこがれた銘酒:CBは3年前と少しも変わらぬ味と薫りで、
私達を歓迎してくれました。来て良かった!
はるばる訪ねたモンテリアは、忘れ難い思い出の地となりました。
もちろん背負って帰りました。
by sundby
| 2009-04-21 20:18
| 旅行